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「ラスト・ソング」のその後

モンスターの正体

以前、テレビで「カスタマー・ハラスメント」というのをやっていた。

客による理不尽なクレームのせいで従業員が心を病み、離職するという話だった。タクシーの乗客や、飲食業の客、介護サービスの受け手に酷いクレーマーがいるらしい。

 

これを見ていて、「まさか我が家のことをそう思っている人っていないよね」と思った。

 

「ラスト・ソング」に書いた通り、我が家も、病院に一度「患者さまの声」という形でクレームをつけ、理学療法士さんのあまりある態度に父がキレた。

私は、どちらの場合も、”理不尽な” クレームをつけた覚えはないけれど、そのように解釈された可能性もある。

 

実際、病院は、悪質クレーマーでもあるように私たちを扱った。

客観的に見れば、非難されるべきはお医者さまの態度のはずなのに、そのお医者さまの上司は自分の部下をかばい、私たちを「危険物」や「爆発物」のように扱われた。

理学療法士さんにしても、所属先の責任者さんは良心的に対応してくれたけれど、本人は自分の言動の非が認識できただろうか。テレビを見て、父と私を思い描いたかもしれない。

 

誰でも、不快な思いをせずに一生を終えることはまずないだろう。温厚な人だって我慢できないことは、一生に一度くらいはあるはずだ。自分のことなら我慢できても、家族に関わることだと我慢できないこともあるだろう。

 

傷が深くならないうちに担当を代わってもらうなど、手を打てばよかったとしても、それは後になって思うこと。トラブルの渦中にいるときは、なるべく自分の胸のうちに収めようとする。そうしているうち、感情は悪化し、「キレ」てしまうこともある。

 

クレームを上手に付けるのは難しい。でも、上手に付けられるようになるほどクレームをたくさん付けました…というのはもっと怖い。

 

モンスター・ペアレントなど、「モンスター◯◯」が度々話題にのぼる。それまで「温厚な人」で通っていた人がクレームをつける羽目になり、どうしていいかわからず突沸してしまうのではないだろうか。思い切ってクレームを付けた側の事情にも想像力を働かせてくれれば、少なくとも暴走は止められるのではないかと思う。

 

ユニクロで買い物をするとハガキを渡されることがある。苦情、希望を受け付けようという意思を見せてくれる、いいアイデアだと思う。何よりなのは店員さんがお客さんに面と向かって渡すことだ。店員さんは自ら気を引き締めることにもなるだろうし、渡されたお客さんもいい加減なことは書けない。

形式は異なるが、同じようなシステムのアンケートは最近多い。

 

お医者さんや区役所の窓口でそのようなハガキをもらってもびっくりしちゃうし、年寄りはこういうものをもらうとどうでもいいことまでビッシリ書いてしまうので、介護や医療の現場では実際的ではない。でも、大きな声をあげられない立場の人たちの、ささやかな叫びを受け入れてようとするシステムがあればいいと思う。