私は、人生最初に住んでいた家が好きではなかった。
古典的な日本の木造家屋で、扉はガラガラ横開き…💧
友達の家も、幼稚園のトイレも、ノブを回して開く「ドア」だった。今思うと子供にとっては安全だったのだが、スライド・ドアはダサい感じがした。
戦後、祖父が建てた家を、父が結婚するときに建て増しし、風呂場や水洗トイレを作りつけた…と聞いたが、その家は、あちこちに漠とした怖さを漂わせていた🙀
部屋の天井には木目があって、夜寝るときに見つめているとお化けや人間の目にも見えきた。
天井だけではなく、箪笥の木目や襖・カーテンの模様…古い家は奇妙な柄に溢れていた🦓
各部屋にあった押入れはカビ臭くて深くて、暗黒世界につながるトンネルのようにも思えた🐷
家の中から死体が出てきた…みたいな夢を見たこともあった😨
なので、家を建て替えると聞いたときは、そりゃもうホッとした😮💨
もうこの怖〜い家に住まなくてよいのだ💀
その家を引き払う準備をしていたとき、その家の不気味さの闇をさらに深めるものを見てしまった。
真ん中の部屋の下にぽっかり、大きな穴があいていたのだ🕳️
どうやってその穴を見つけたのかは、今となっては定かではないが、畳をあげたら穴があった…ような(?)
その穴は「防空壕」だと、父は説明した。
祖父母が掘ったものと思いこんでいたが、今考えると、祖父母は空襲で築地の家を焼かれた後、この家を買った(建てた?)ので、引っ越してきた頃には戦争は終わっていた…んじゃないだろうか?
…とすると、あの穴は誰が、何のために掘ったのだろう😱
穴は埋められ、新しい家が建った。
新しい家には恐怖のカケラもなく、私が悪夢を見ることもなくなった🏠
しかし、安全なはずの家は30年も経たないうちに再び「怖い家」となった。
誰も(生きて)いないはずの祖父母の部屋から物音がするようになり、体調不良だった母の睡眠を妨げた。
物音は母の寝室にとどまらず、ある夜、私の部屋に正体を表した😱
…それはでっかい、クマネズミだった🐹
我が家だけでなく、近隣の家々にも被害が及んでいたことを後になって知った。
近所の電線の上を、猫ほどの大きさの動物が移動するシルエットを見たこともあった。
そのときはタヌキかハクビシンじゃないかと思ったが、クマネズミだったのだ🐀
我が家も台所が荒らされ、祖父母の部屋も、食べ物などないのに荒らされた。ヤツは石鹸も、食う🧼
ネズミとの知恵くらべが始まった。一匹捕まえても、同じ手は二度と使えない。ヤツは用心深い上に頭がいいのだ。
行動を観察し、想像力をフル稼働して手を替え品を替え、5〜6匹退治したところでようやく収まった。
「退治」と書くとたった二文字だけど、泣きたくなるほど大変だった💦
安住の地…というものは、今の日本でも、簡単に手に入りそうで入らないものなのかもしれない💧