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「ラスト・ソング」のその後

花の下にて曾祖母を思う

朝ドラ「カムカムエブリバディ」が今週、最終回を迎える。

100年3代にわたる物語。
最初は、安子の苦労物語・・・かと思いきや、気がつくと"ひなた"のコメディー・ドラマになっていて、最後は感動で幕を閉じ・・・ようとしている。あまりのトーンの変わりように、少し戸惑った。

が、これは、どこの誰にも当てはまる物語だ。

川栄李奈さん演じる"ひなた"が、ざっくり私と同世代。何の苦労もせずのほほんと育ったところに共通のものを感じた。
深津絵里さん演じる、"るい"は苦労を抱えながら、高度成長期を駆け抜けた。
二代遡って、上白石萌音さん演じる安子は戦争を体験し、夫を失い、家族を失った。

便利なモノに囲まれ、私たちは(少なくとも今日までは)安全でのどかな日々を送っている。
でも、私たちのご先祖様たちは、日本中どこに住んでいても、どのような暮らしをしていても戦争を経験した。それも遠いご先祖様ではない。私たちと同じ時を生きている、たった二代の先輩達だ。

それはちょうど今のウクライナの姿とも重なる。
ブチャのような虐殺はなかったとは言え、米軍の焼夷弾は日本の家屋をよく燃やすように開発されており、多くの都市が焼け野原になった。東京大空襲では祖父母の家も焼け、あちこちに遺体が積み重なっていたと聞いた。安子のように、夫や父親を戦争で失った人も多い。

そのような状態から、家を建て直し、生活を立て直し、数々の苦労を耐え抜いて命をつないでくれたからこそ、今の私たちが存在して豊かでキレイな生活を送れている。
逃げ遅れていたら、復興を諦めていたら、今日の私たちはいないし、日本もない。

さらに祖母は関東大震災も経験した。赤ん坊を負ぶって幼い子供たちの手を引き、お櫃を抱えて(お昼時だったので)避難したと、何度も聞かされた。そこで祖母が何かの下敷きにでもなっていたら私は存在すらしない。

私たちはたまたまここに存在しているわけではない。
辛かった時代をたくましく生き抜いてくれた先祖たちがいるから、今の日本がある。
それはどの家庭でも、どんな人でも同じ。
折あるごとに先祖に思いをはせ、今の生活を感謝しなければいけないと思った。

4月10日は曾祖母の命日。
今より桜の開花が遅かったであろう、昭和21年。桜の花の下でなくなったのだろう。
合掌。

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