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「ラスト・ソング」のその後

眼の話(その5)

父によると、白内障手術前の検査で、眼圧の上昇の可能性を示唆する結果はあったらしい。

ただ、それを指摘したのが若い医師で、経験豊かな五輪病院の医師は、その結果を無視して手術に踏み切ってしまったらしい。

白内障の手術は本当によく聞く話だ。そして誰もが「よく見えるようになった」とニコニコ顔で語る。だから私も失敗の可能性など考えていなかったのだが、後になってネットで調べると、100パーセント成功というわけではなく、失明した人もいるらしい。

 

自分の身体にメスを入れる行為だ。それも失敗すればその後の生活に大きく響く。用心深い父は、そういうこともあって五輪病院を選んだのだが、経験という過信が裏目に出てしまった。少しでも「?」なコメントがあったら、他の医師に相談するべきなのかもしれない。

 

ちなみに、父が軍人に殴られたことは、父の眼の構造に多少の影響はあったのかもしれないが、眼圧の上昇とは関係がないと私は思っている。というのは、父のDNAを受け継ぐ私自身、5年ほど前に眼底検査で「正常眼圧緑内障」を発症する危険性を指摘され、年に2回、眼科病院で検査を受けているからだ。

 

目薬で不快感を感じるのは、十分あり得ることだ。

私の通っている眼科病院の医師も優秀な医師のようで、待合室はいつもいっぱいだけど、マイナーな訴えには疎いし、薬の長期使用や副作用についての知識も十分ではないように思われる。これから高齢者も増えてくると眼科病院も大混雑。一人一人の眼の症状に寄り添って・・など無理なお願いかもね。

 

87歳頃から五輪病院に通うのも大義になり、私の通う眼科病院への紹介状を書いてもらったが、血液の病気となり転院することはなかった。最後は、BCD病院の眼科から目薬をいただき、私がさしてあげた。他人にさしてもらうと漏れることなく目に入る。亡くなる直前まで、父の眼圧は良好にコントロールできた。

 

数々の病気を体験した後、父はよく、この眼のことがなければ病気にもならず、もっと元気だったはずなのに…と言っていた。

そのこと自体には私は疑問だけれど、この眼のことがなければ、もっと充実して愉快な晩年が過ごせていたのは間違いない。