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「ラスト・ソング」のその後

メガネの宅配

若い頃から目の悪かった父は、生涯にメガネを何個作っただろう。

それも、タレントや俳優のようにオシャレからたくさん作るのではなく、すべて必要に迫られて作ったものだ。

 

前に書いたように、白内障の手術後、見え方が変わってしまったと言ってメガネをたくさん作り替えた。晩年は体力の衰えとともに目の調節機能も落ちたのか、メガネが合わなくなった。

 

テレビを見るのも苦痛だったようだがメガネ屋さんに足を運ぶのも容易ではなかったので、ネットで、家に来てくれるメガネ屋さんを探した。父がよく使っていた大手のメガネ屋にはそういうサービスはなく、それよりちょっとマイナーな(でも支店はあちこちにある)メガネ屋さんが来てくれることになった。

 

ひょろりとして優しそうな(そして、本当に優しかった)店員さんが、検眼に必要な用具をどっさりかかえて我が家を訪れ、(確か)1時間ほどかけて、いろいろな測定をしてくれた。何より良かったのは、この椅子に座り、この位置にあるテレビを、これくらいの明るさで…という、通常メガネを使う条件で測定ができたことだ。

 

メガネ屋さんで測定すると、一定の条件下で見るようにメガネが調整される。でも、実際に使う距離はそれより長かったり、短かったりするので、人によっては「合わない」と感じることもあるという。その点、こうやって実測すれば間違いがない。

 

そうして、(確か)2週間くらいしてメガネができた。同じ店員さんが届けてくれ、さらに微調整してくれた。

 

このメガネ屋さんでは、補聴器も、こうやって家庭訪問して作ってくれるそうだ。

 

訪問のための追加費用をどのくらい払ったか忘れてしまったが、2000円~くらいだったと思う。メガネ屋さんにしてみれば、手間のわりには儲けになっていないと思う。

検眼用の大量の用具は、私の記憶では自動車ではなく、徒歩+電車で運ばれたと思う。雨など降ったら大変だ。大手のメガネ屋さんがやっていなかったのも頷ける。

 

こういうサービスは普及してほしい。普及するためには、どんどん利用してほしい。

若い頃はたくさんメガネを作った人でも、年をとると合わないメガネで我慢してしまう人もいるらしい。でも、合わないメガネを使うのは、何歳になっても生活の質を落とすものだ。

無理して使わないで、どんどん作ってみてほしい。補聴器も、だ。

 

オーダーが増えれば、メガネ屋さんも車で移動することができるようになるだろう。検眼用車両が登場するかもしれない。

家族ぐるみで利用してもいいと思うし、敬老の日のプレゼントにしてもいいのではないだろうか?

デイケア、デイサービス、高齢者用福利厚生施設など、お年寄りの集まるところにイベント的に来てもらってもいいと思うし、メガネ屋さんもそういうところに積極的にアプローチして商売繁盛してほしい。