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「ラスト・ソング」のその後

デュアル・ワールド

新型コロナが流行して以来、それまで勤め帰りに遠方で買い物をしていた人や外食派だった人たちが殺到して、近所のスーパーがぎゅうぎゅうになった…と書いたことがあるが、ここら辺の住民は、もともと買い物難民なのだ。

フツーのプライスでフツーにフレッシュなものが買えない😥

 

なので、初対面の人との会話が「いつもどこで買い物しています?」から始まることがある。お名前を忘れてしまっても、「三茶までチャリで行く方」とか「Kデパートの方」で覚えている方がたくさんいらっしゃる。ホントです。

 

ジモティと、買い物の話をつまみにしてお酒を飲んでしまったこともあった。別の用事で行った郊外のスーパーで生鮮食料品を買ってきちゃうんです…あるある…みたいな話題で盛り上がっちゃった🍻

 

ということで、私は、レジ袋有料化のずっと前からエコバッグを常に持ち歩いていた。喪服でレジ袋をぶら下げて電車に乗るよりは、エコバッグのほうが体裁がいいし。

 

父も常にリュックを背負い、旅行やハイキングに出かけても、必ずのように食料品を買って来た。

父と私にとって、日本中が「最寄りのスーパー」だった。

 

コロナが流行ってからは特に、仮装行列で有名な街のデパ地下に足繁く通うようになった。

この街はジモティvs若者の間でデュアル・ワールドとして存在する。

 

デパートは2軒あるが、どちらも駅に(地下道などで)直結していない。

地下の食品売場に関して言うと、駅に近いほうがリーズナブルで品数が多い。日替わりの果物盛りも楽しみ。

もう1軒はお値段高めだが、いつも空いているので、安全にゆっくり買い物ができる。

これらのデパートがデュアル・ワールドの象徴となる。

 

1階の入り口を境に、階上へ向かう客と、地下に直行する客は異次元の住民なのだ。

地上売場を彷徨うお客様はオシャレなのだが、地下を訪れる客は殆どが徒歩やチャリで来るため、超カジュアル。Tシャツに短パンも珍しくない。

 

地下に置いてある商品もデュアルだ。

贈り物を販売するデパートの機能と、ジモティのニーズを兼ね備えようとしているため、超高級フルーツのそばに、半分にカットされたパック入り焼き芋なんかが置いてあったりする。

 

なんと言っても最大のデュアル・ワールドは、これらのデパートに行くのに通る商店街だ。

かつてここは、ごく普通の商店街だった。

しかしどこの駅からもアクセスが悪いため、フランチャイズの出店はなく、ほとんどが個人商店。魚屋など一部の商店は今も営業中だが、代替わりなどを理由に商売を諦めた店は貸店舗となり、夢を求める若者が小洒落たショップを開いた。

故に、昭和の香り高い香り高い商店とセレブな店が混在する商店街となった。

 

この商店街に最近つけられた「奥○」というネーミングもデュアルな世界観を表している。

ジモティはおそらく渋々使っているが、ここにはもともと格調高い響きを持った地名がある。

この商店街は二か国語(dual language)放送のように、元の商店街名を使いたいジモティの目には昔の商店が映り、おそらくメディアが作り出したネーミングを使う人たちにはオシャレなショップやレストランだけが見えているのかもしれない。

 

そして1031日、この街はカオスとなる🎃