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「ラスト・ソング」のその後

車椅子を利用しよう

車椅子は、要介護にならなければ使えないと思われがちだけれど、自治体(社会福祉協議会などであることも)に無料で貸してもらえるし、デパートでもホームセンターでも買える。免許もいらない。誰でも使って良いものだ。

 

車椅子生活にしてしまうと筋力や気力が落ちてしまいそうな気がして、父には「頑張らせて」しまった。今思うと、早々に切り替えてしまった方が家庭内転倒の心配もなかったし、生活の質も向上したかもしれない。まだまだ元気な人でも、一家に一台用意しておいて、たくさん買い物をしたいときや展覧会に行くときに使うのもアリかも。災害のときなど、あると絶対に便利だ。

 

どうやって借りるかというと、プロセス自体は簡単そのもの。

が、私の場合は “容易” ではなかった。

 

まず、社会福祉協議会の事務所にたどり着くまでだ。

区役所の近くのはずだが、道案内表示がない。

マップを使って近くまで行き、横断歩道で子供の誘導をしているおじいさんに尋ねたが分からないと言われた。隣接している “はず” の小学校で訊いても誰も知らず、たらい回しにされ、4人目くらいに訊いた人が教えてくれた。なんと、最初におじいさんに訊いた場所のすぐそばで、反対回りにたらい回しされていたのだった。

 

所定の用紙に署名してハンコを押せば、車椅子を貸してもらえる。返すのは、3か月以内であればいつでも可。図書館で本を借りるより簡単だ。「2、3日遅れても、たくさんありますから大丈夫ですよ」とのこと。実際、駐車場には区内のお年寄りに配ってまわりたいくらい、たくさんの車椅子があった。

 

「バスに乗せて帰れますか?」と係の女性に聞いたら、別の人に聞きに行き、「乗せられます」の返事をもらうまで5分ほどかかった。

さらに我が家の門から玄関まで急な階段が9段あることを説明し、「階段は、どうやって?」と尋ねたら、「ご家族に手伝ってもらえば?」と “しれっと” 言われて絶句した。

父が手伝ってくれられるくらいなら、車椅子を借りる必要はないんですけど…。

まあ我が家の家族構成まで考えを巡らせていただくのは無理としても、力持ちの家族がいたらその人が来るでしょうし、そもそもこんなことお尋ねしないんですけどね…。

 

ということで、これ以上尋ねることはやめ、バスも諦め、炎天下、人の乗っていない車椅子をコロコロ転がして帰ってきた。バスに載せるにはステップを登らなければならない。一人で引き上げられるか、揺れる車内で支えていられるか、自信がなかった。

 

ところが懸念した階段は、簡単に登ることができた。

そこで初めて気がついた。人が乗っていなければ車椅子の操作は容易だったのだ。

 

社会福祉協議会は決して感じが悪いわけではかった。

でも、もう少し全体的に想像力を使っていただけると、みんながハッピーに車椅子が使えて、あそこで待っていたたくさんの車椅子たちもハッピーに利用されるかもしれないのに。