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「ラスト・ソング」のその後

雨漏りのプレリュード

風雨が強くなってきたので1階に避難してきた。

2階は屋根に近いせいもあり風雨の音が凄まじい。おまけに我が家のお向かいではマンション建築中で、何か飛んできそうで怖くなってきた。今晩は父の加齢臭の残る布団で寝ることになりそうだ (*_*)

 

同じ屋根の下でありながら、1階には嵐の臨場感が、嘘のようにない。

父が1階に住んでいる頃、嵐も地震も、父は全く感じていなかったのを思い出した。

父の場合は加齢による五感の低下もあるが、マンションに住んでいる方もきっと同じ、嵐の恐怖感は格段に少ないことが予想される。

 

この前の台風もそうだったが、被害は一軒家に多い。

おそらく日本全国では一軒家のほうが数が多いからであり、自然災害の被害を受けやすい土地にマンションはないからと思われるが、マンションのほうが安全・安心な印象はある。

 

我が家を建て替えるとき、仮住まいとしてオンボロの一軒家を借りた。

マンションを希望したのだが、父の本を格納する場所と家賃を考慮すると一軒家しかなかった。本だけ別の場所に移すことも考えたが、引越しの手間を考えると、なるべく同じところに持って行きたかった。(今思えば、捨てちゃえばよかったのに。)

 

その家のボロさは半端ではなかった。

寝転んでいたら頭上に電灯が落下してきたことがあった。すわっと交わせたのが奇跡のようだったが、目を閉じていたら大怪我をするところだった。落ちてから気がついたのだが、一般家屋と思えないほど大きな電灯だった。よく屋根ごと落ちなかったと思うくらいに。

 

大通りに近いこともあり振動や騒音もすごく、そのため家の傷みも激しかったのだろう。

雨漏りもした。リビングの天井のあちこちから漏ってきた。

昔々、「8時だよ!全員集合」のコントで、ボロ屋のあちこちから雨漏りするシーンがあったが、それに匹敵するほどの(コントレベルの)雨漏りだった。家中のバケツやら洗面器やらを動員したのを思い出す。最後には傘を広げた。部屋中ビショビショだった。

 

冷房をつけてもつけても涼しくならなかった。

風呂の換気も悪かったし、熱効率も悪かった。

 

我が家が最後の住人になるのだろう…と、父も私も信じて疑わなかったのだが、なんとその家はまだある。

場所が便利だと、借りる人がいるんだね…と感心するばかり。

 

住居地を告げると、皆さん「高級住宅街ですね」と言われる

だけど、高級な住宅が建ち並んでいるのは我が家から徒歩10分ほどの限られたエリアだ。その一方で “高級” イメージに作り上げられた場所に古〜い “住宅” が建っている “地” も多い。

数年前、台風が去った翌日、突然倒壊した家屋もあった(ニュースになりました)。

ボロボロの不動産屋があって、嵐が来るたびに家が崩れていくのが傍目にもわかった(さすがに取り壊された…近隣の皆さんの不安が強かったのだろう)。

 

それもそのはず。父が築地からここに移ってきた頃、まだ牛が歩いていたという。道路には牛の糞が転がっていたと、タクシーの運転手さんも言っていた。急速に発展し、利便性のおかげで「高級」の名前をいただいたようなものなのだ。

 

風雨が強まってきたが、これからまだ強くなるようだ。

危機感の真っ只中にある人がブログを読んでいるとは思わないけれど、どうかこれを読んでくれている皆さん、無事でありますように。