晩年の父は、落ちるところまで筋肉が落ちた。
タンパク質たっぷりの食事を三食きちんと摂り、リハビリで指定された筋トレやストレッチをコツコツとこなしているのに、まったく形になって現れてこなかった。
「ラストソング」にも書いたが、80歳を過ぎても1日一万歩。犬のように歩いていた父だったのに、最期には歩行に悩み、家の中で頻繁に転倒し、自力で起き上がることもできなくなってしまった。それだけではない。「こんなところに筋肉があったのか」と感心するような場所の筋肉まで衰えた。口の中や喉の筋肉だ。理学療法士の方が毎日、病室に訪れてリハビリしてくださったが、改善することなく、再びモノを食べることは叶わず、命を落とした。父はいわば「筋肉に裏切られた」のかもしれない。
テレビには活力みなぎる高齢者が登場し、「速筋(白筋)は年齢とともに減少するが、遅筋(赤筋)は高齢になっても増える」とか「速筋は遅筋に置き換わる」と説き、筋トレを紹介し、栄養サプリメントを売り込む。90歳を超えても筋肉は増えると、力こぶを披露する。
でも、遅筋が “どんどん” 増えるのなら、重量挙げは高齢になるほど有利になるはずではないか?
誰にでも、筋肉に裏切られる日は必ずやってくる…と私は思う。
今、父の最期を振り返ると、食事や筋トレを活かすことができるのが「生命力」というものなのではないかと思う。
人間に生命力がある間、筋肉は応えてくれる。(その1)に書いたように。
筋肉に裏切られたとき、それが命のつきるとき…なのかもしれない。
(その1)なんてあったっけ?…と思われた方、いい質問です!
今回はコラボ企画につき、(その1)はこちらにございます。→https://auntmee.hatenadiary.jp