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「ラスト・ソング」のその後

ミッション

父はとにかく歩くのが好きだった。若い頃は毎週のように山に登り、ジョギングも好きで、ホノルルマラソンなど、フルマラソンも何度か完走した。60歳を超えてからは走ることはなくなったが、私が電車やバスを使っていくような場所でも、父は歩いて行った。

「23区を歩く会」「多摩の自然散策」「スリーデーマーチ」・・歩くのが好きな人たちが集まりそうなイベントやカルチャー講座に参加するのが好きで、友人たちのお墓まいりにもマメに行っていた。80歳をすぎても、高尾山は半日で往復してきた。

そんな父が最晩年に歩行に悩まされるなど、誰が想像しただろう。

 

機能障害を起こすような病気にかかったわけではない。

リウマチ性多発筋痛症は、筋肉が炎症を起こす病気ではあるけれど、薬で抑えていたし、この病気が元で歩けなくなるという記述は読んだことがなかった。最終的にリウマチ性多発筋痛症を抑える薬のため(だと私は思っている)造血機能に障害をきたす病気になったが、この病気も直接歩行に影響するわけではない。赤血球が激減し、身体が緊急事態を察知して筋肉を作る働きを止めたんじゃないかと思ったこともあった。でも、テレビで、似たような病気を発症し(程度はわからないが)貧血状態の人が普通に歩いているところを放映していたのを見たことがある。彼は確か90代。父よりも年上だった。

 

年をとると筋肉が落ちるのは誰にでも起こることだけれど、個人差が大きいように思える。そしてそれには、他の病気と同じく、若い頃の生活習慣と、何よりも、遺伝子が影響しているのではないだろうか。

運動選手にも、かなりの年齢までプロでできる人、早々と引退する人がいる。運動の種類にもよるけれど、「高齢」までできる人は、努力や根性だけではなく、筋肉を維持する遺伝子もあるのではないかと思う。

 

かく言う私も、筋肉がつきにくい。

父のきょうだいたちも、その子孫となる私のいとこたちも、よく言えば、皆スリムだ。

若い頃は「太らなくていいね~」などと言われてイイ気になっていたけれど、晩年の父を間近で見て、そして自分も父の年齢に近づくにつれて、決して笑っていられないことに気づいてきた。

 

今までの生活や楽しみを1日でも長く続けるためにも、自分に鞭打って身体を維持するのが、私のこれからのミッション・・・である。