大学1年生の夏休み、宿題が出た。
薬用植物20種を採集し、「腊葉(さくよう)」にして提出する…というものだった。
早い話、朝ドラに出てくる「植物標本」のことである。
しかも5種の植物は指定されていた。ゲンノショウコとかクズとか。
後にも先にも、これほど途方に暮れた宿題はなかった😳
まず薬草20種🌿
だが、これは “思ったより” ハードルが低かった。
確か過去ログに画像をアップしたが、「薬草カラー図鑑」という本を手に取ってみると、アサガオやツユクサ、ハコベ、オオバコ、タンポポ…と、身の回りに薬草はたくさんあった。さらに「毒草」であるスズランにアジサイ…これらは庭に生えていた(が、アジサイは木本なので標本にできなかったと思う)🌴
「薬草カラー図鑑」を持ち歩き、雑草に出会ったときすぐにそれと分かるよう、頭にインプットした。
おかげでゲンノショウコさんも初対面ですぐにビビッときた⚡️
あとは地方出身の友人たちが集めてきてくれた。
クズにヒキオコシ、カラスビシャクにイタドリ…私が見たこともなかった草を友人たちはよく知っていて、地方との格差を実感した(明らかに地方が上である)。
ベニバナかキキョウあたりの鉢植えでも買うか…と思ったが、そこまでせずとも20種はクリアできた🪴
しかし私を悩ませたのは、植物標本の作製そのものだった🥴
朝ドラではカンタンに作っているように描写されているが、私にとってはタ〜イヘン💦
まず完全な植物を採って来なければならない。
花のあるものは花から、葉、茎、さらに根っこが完全に揃っていなければならない。花や実のない標本はNG。
それをA3版1枚におさまるよう、重なり合う部分などないよう、形を整える。
新聞紙に挟み、重しをし、最初は毎日、水分がなくなってからもほぼ毎日、新聞紙を交換する。夏はカビも生えやすい。風通しの良いところに置かなければならない。
狭い部屋を、新聞紙と電話帳の山が侵食していった😰
そして乾燥した標本を専門の高級専門紙に、アラビアゴムのテープで「キレイに」整えながら貼り、ラベルを付ける💦
夏休みが明けて、友人たちが作ってきてくれた標本は、私が自分で作ったものより遥かに美しくできていて、いただきものであることがありありと分かった。
が、とにかく20種、提出することができた。
「らんまん」を見るたびに、そして記念館などで再現されている富太郎の部屋を見るたびに、積み重なった植物標本から匂いさえ漂ってくるような気がしてくる。
あれが生活空間にあったら、家族にはストレスだろうなぁ…😥
牧野氏は苦労をかけた妻に感謝を込めて、自ら発見した笹に「スエコザサ」と名付けたと言う。
私だったら、自分の名前を植物につけてもらったとしても、植物学者の妻はゴメンだ…と思う🙇♀️