もし本当に、お盆にご先祖様がこの世に帰ってくるとしたら、ご先祖様ご一行はさぞかし驚かれることだろう。
このマスク集団に。
季節を間違えたかと思うお方もおられるかもしれない。
いやいやご先祖様、確かに今は夏でございます。
悪い病が流行りまして、みんなしてマスクをしているのです。ご先祖様も、お土産におひとつどうぞ…ってか。
公共交通機関などでのマスク着用が法律で義務付けられている国もあるらしいが、日本ではその手の法律が一つもないのに、それもこの高温多湿の中でのマスク着用率の高さはすごいと思う。
場所によっては、マスクをしていないと摘み出されることもあるけれど、基本的に罰せられることはない。
よく考えると、「三密を避ける」「手洗い」などは、実行する本人のためである。
だけど、マスクは自分のためにしているのではない。
花粉症の人なら身体でわかっているはずだ。
本当に花粉が多くなってくると、目の細かいマスクをしていてもくしゃみが出ることがある。マスクの網目を花粉が通り抜けて入ってくるからだ。花粉よりうんと粒子の細かいウイルスがマスクを通り抜けないはずはない。おまけに、マスクのこちら側では呼吸をしている。吸引力のさほど強い人でなくとも、マスク周りの粒子は吸い込んでいるはず。
つまり、マスクに予防効果は期待できない。”完全に” 他人のためだ。
よって炎天下、熱中症のリスクを冒してまで(他人のために)マスクをする必要はない…のだ。
実際、外国の映像を見ると、マスクを義務付けられている国でも、マスク率100%というわけにはいっていないらしい。
それなのに汗をかきかきマスクをしている日本人は凄い、偉いと思う。
新型コロナウイルス・パンデミックの第一波が収まりつつあるとき、西欧諸国に比べて日本人の罹患率、致死率が低い理由があれこれ論じられた。
ノーベル賞受賞の学者さんは、HP上でこれを「ファクターX」と名付けられた。
BCGの接種率ではないかとか、他のコロナウイルスとの交差免疫の可能性も囁かれた。
でも、そういうものだったら実際にクラスターができるはずがない…でしょ?
遺伝子説も持ち上がり、遺伝子解析もされているらしいけれど、「日本人に特有な遺伝子」なんてあるのだろうか?
江戸時代に鎖国されていたと言っても、それ以前、それ以降に遺伝子の混合は行われているし、もし日本人の遺伝子であるなら、外国に住んでいる日本人の遺伝子を持っている人たちも感染しないはずだ。
中国や韓国では感染が収束しつつあるらしいが、これらの国々では法律を厳しくすることで抑えられたのだと思う。
日本には、そういう法律は一切存在しない。
それでも、そういう国々同様、感染が収束に向かっているのは、私は「自らマスクをする」国民性だと思う。
目の前にいる他人だけではなく、誰だか分からない人のために、暑さを我慢してマスクをする国民性。それも、タダで配られたアベノマスクを仕方なくはめる “受動的マスク” ではなく、自分で幾ばくかのお金を投じてオシャレなマスクを選び、誇り高くはめる “能動的マスク” だ。
おそらくそれは、スポーツ観戦後や飛行機を降りるとき、座席周りをキレイにしてから帰るという習慣にもつながるものかもしれない。顔顔の見えない誰かのために、やっていることだ。
日本人に生まれてよかった…そう思いませんか?