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「ラスト・ソング」のその後

マスク愛 vs サングラスLove

父の “マスク嫌い” も血筋だったのだろうか、従姉も花粉症を持っているというのにマスクをせず、鼻をグシュグシュさせていた。「マスクしないの?」と聞くと、「うっとうしい」と言って笑っていたのを思い出す。

 

私も嫌いだったけれど、花粉症を発症してからは “年に3ヶ月だけの愛人(?)” となった。

慣れてしまうと案外快適だったりする。年中荒れている唇もこの期間はちょっとだけ潤うし、何より「マジックミラー効果」がある。自分からは見えているのに相手からは自分の一部しか見えていないという、気楽さだ。小顔に見える、目だけだと美人に見える…という思い込みもあって、中高年の女性にはマスク愛好者が多い。

 

世界の文化を比較する人によると、アジア人はマスク好きで欧米人はサングラス好きだという。

日本人アイドルは公共の場ではマスクをし、ハリウッドスターはサングラスをかける。

日本で悪いことをしようとする人はマスクをする。サングラスをかけると却って目立ってしまうからだ。

ということで、日本人はサングラスをしている人を見ると「怪しい」と思うことが多いが、欧米人は日本人の集団マスク姿を見るとゾッとするらしい。

 

今回のウイルス流行騒動でもその傾向が顕著に見られた。

流行が始まってから、どこへ行っても “マスク星人” だらけだ。流行と言っても実際に流行っているのは海の向こうなんだけど。

本当に風邪をひいている人もいるかもしれないし、私のように花粉症もいるかもしれない。かつての私のように、家に要介護者を抱えていると感染症に敏感になるから、悪いことではないと思う。

 

一方、私の目の届く範囲に、マスクをしている欧米人はいない。WHOがマスクの有効性に異論を唱えたほどだ。そこまで嫌いか?…ってくらいに。

同様な流行がニューヨークやロンドンで起こっても、マスクしないで、クシャミしている人には「神のご加護を(Bless you)!」なんて悠長に言っちゃうのだろうか? 

彼らは花粉症になったらどうするのだろう?

 

しかし日本人の“マスク依存” は “マスク愛” からくるだけではなく、報道のせいもあるのではないだろうか。

 

武漢の患者数と死亡数が毎日更新され、戦場と化した病院の画像は衝撃的で、日本もこうなってしまうのではないかと怯える人は多いはずだ。

さらに日本での感染者が、症状のある人と接触していなかったという事実にも驚かされた。

 

咳やクシャミなどの症状は、ウイルスが宿主の体内から飛び出して他人にうつるための手段と考えられている。消化器に感染するウイルスの場合は吐物や糞便を介する。

症状がないということは、ウイルスはどうやって体内から出たのだろう?

 

当初「空気感染」という言葉が使われたことは前々回のブログにも書いた。今ではその言葉は使われていないが、それでも症状のない人の喉や口からウイルスがもうもうと舞い上がり、空気中を漂って何メートルも離れた人の鼻や口に入ってしまう絵図を(おそらく誰もが)想像してしまう。

実際、武漢では人との間隔を常に1メートル以上あけているらしい。路上に消毒液を噴霧している映像もあった。あれだけ人けがなかったら、ウイルスも最早浮遊してないだろうと思うのだけど。

 

「空気感染」ではなくとも、無症状の人からうつるという事実が分かり、その際のウイルスの挙動がはっきり分からない限り、マスクをしたくなるのは当然だ。

ちなみに「無症状」と言っても2種類考えられる。潜伏期でこれから症状が出る場合と、ずっと無症状で終わってしまう場合。結果的には同じだけれど、意味合いはビミョーに違う気がする。

 

さらに中国人が大量にマスクを買い占める映像を見て、日本人もじっとしていられなくなった。

こんなに周りの人がマスクをしているのに、しないでも平気で東京の街を歩いている欧米人(観光客も在住者も)も大したものだとも思う。日本人が外国に行って、周りの人が皆サングラスをかけていたら、素直にサングラスを買うんじゃないかと思う。

 

マスクの欠点は、マスクをかければ安心…と思ってしまうことだ。

マスクをする以上は手洗いもきちんとして、電車の中でスマホをいじったその指で、食べ物食べないでね、と老婆心ながら思う。

 

そして、さらなる感染拡大に備えて、今の段階ではマスクは大切に使ってください。

杞憂に終わればいいですが。

 

追加:このブログをアップする直前、西洋人のおじいさま2人がマスクをして歩いているのを見た。市場に出まわっているマスクは “平たい顔族” 仕様のようで、窮屈そうだった。西洋人向けマスクを開発すれば、彼らもしてくれる “かもしれない”。