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「ラスト・ソング」のその後

我が街のそっくりさん?

父が亡くなって少しした頃、近所の陸橋の上で、父にそっくりな人を見かけた。チェックのシャツにポケットだらけのベスト、野球帽に確かリュックを背負っていた。痩せて小柄な感じもそっくりで、思わず凝視してしまった。

「まだ成仏していなかったんだろうか」とさえ思った。

世の中にはそっくりな人間が2人だか3人だかいるという。この近所にいましたか・・・

と思ったのだけれど、その後、その人以外によく似た人がぞろぞろ出てきた。それも我が最寄駅の周辺に、だ。

揃いも揃って、チェックのシャツにベストを着て、野球帽を被っている。靴は様々。今日見た人はサンダルばきだった。バッグも様々だけどリュックが多い。どうやら我が最寄駅周辺のトレンドらしい。副都心近くの住宅街に住む痩せ型の高齢者はああいう格好を好むのかもしれない。最近はこちらも慣れてきたので、睨むということはなくなったけれどね。

顔のほうは定かではないけれど、頭頂部そっくりさんを見かけたこともあった。

亡くなって間もなく、新宿のデパートのデパ地下に向かうエスカレーターに乗ったときのこと。前の段(下の段)に乗っているオヤジの頭頂部のハゲ具合が本当、そっくりだった。父と違うのは、転倒したときにできた傷跡がないというだけで、毛の流れも、白髪の具合もそっくりだった(ヘアカットをやらされていたので、髪の毛の生え方など熟知していたのだ)。

あの時は、亡くなって間もなかったこともあり、父が好きだったデパ地下ということもあり、「こんなところで〜」と、涙がこぼれそうになった。

 

そういえば、母が亡くなった後もしばらく、母によく似た人に目がいったけれど、最近はそういうことがなくなった。

流行が変わって、「そういう格好の人」がいなくなったせいか(おそらくそうだろう)、本当に成仏して姿を見せなくなったのか。