Last Song Latest

「ラスト・ソング」のその後

お盆特集「あなたの知らない世界」

世界がデジタル化される前、この季節になると「あなたの知らない世界」というテレビ番組をやっていた。視聴者の霊体験をもとに作られた再現ビデオを放送する番組で、毎年、楽しみに見ていた。

本当だろうと嘘だろうと、怖くて面白ければいいではないか…と思うのだけど、検証してみたくなる人もいるらしい。

 

私が子供の頃に読んだ本には、人が死ぬ瞬間に霊は身体を離れるから霊の分だけ体重が軽くなるのではないかと考えて、今死のうとしている人のベッドの下に体重計を置いた人がいたらしい。私の記憶だと、(確か)数グラム実際に軽くなったと書いてあった。

 

最近聞いたのだが、(確か)ケンブリッジ大学の学者さんたちが科学的に霊を調べていると聞いたことがある。彼らは “お化け” の出る場所に赴き、電子機器などを使って測定しようとしているらしい。が、このブログを書くに際してネット検索をしたが出てこなかったので、私の勘違いの可能性もある。

 

霊の存在が証明されて学術発表されれば、すごいことだと思う。(何学会に発表されるのだろう?)

地球外生命体を捕獲するよりニュースになるのではないだろうか。全人類の世界観が変わるだろう。

その一方で、”無粋な” 努力にも思える。

そもそも霊が存在するとして、人間界の尺度で測れるものだろうか?

 

霊(お化け)の “存在の有無” は、実は大きな問題ではないと、私は思う。

最近のメディアは無いことをあるように報道すると問題視されるけれど、体験談について言えば、実在の有無などどうでもいいことなのだ。

体験談の何割かは、本当に霊が存在したことによるのかもしれないし、何割かは、家族の「存在してほしい」という心の表れによると思うからだ。

いずれにせよ「フェイク」ではないし、証拠など必要ない。

 

…ということを踏まえて、最近我が家で起こった “心霊現象” をお楽しみください。

 

《その1》

父が愛用していたラジカセを、友人が欲しがってくれたのでお譲りしようと思っていた。ぴったりの箱を見つけて緩衝材も準備して、梱包しようとしたその瞬間、ラジカセから父の歌声が流れてきた。さすがにそのままお譲りするのはためらわれ、お経をあげてもらってからにしようと思ったが、お経料よりラジカセを買った方がはるかに安そうなので友人に諦めていただくことにした。

ラジカセに父の歌声が録音されたカセットが入っていて、偶然PLAYボタンが押されたにすぎないのだが、父からの「俺が大切にしていたものを、ホイホイ人に譲るな」というメッセージを聞いたように思ってしまったのだ。父のモノを処分していた頃で、私の心の中に若干の後ろめたさもあったのかもしれない。

 

《その2》

父が亡くなってから、1階のリビングで椅子を引きずる音が響いてきていた。晩年の父は足が弱くなり、転ばないように椅子を引きずって家の中を歩いており、その音が2階まで響いてきた。その音だった。ポルターガイスト⁉︎ と思ったけれど、思えば(日本の)幽霊には足がないのだから、椅子を引きずる必要がどこにあろう? 1年くらい経って、気がついたらしなくなっていた。成仏したのだろうか? いや、父に居てほしい…と思う私の “そら耳” だったようだ。それにしても実にリアルなそら耳だった。録音しておくべきであったか。

 

《その3》

父が亡くなって以来、父の着ていたものも大分捨てた。部屋の床も何度も雑巾掛けし、空気もすっかり入れ替えた。座布団カバーもソファカバーも洗濯した。

にも関わらず、時々父の加齢臭がどこからともなく漂い、纏わりついてくる。決して芳香とはいえない臭いである。

何処から匂って来るのだろう? 父の部屋のドアをぴったり閉めても匂ってくる。風呂場の脱衣場のようでもあり、よく座っていたソファのあたりでもあり、私のすぐ後ろから匂ってくるようでもある。

カーテンか? 鼻を近づけてみたが、匂っていなかった。

仏壇から匂ってくるのだろうか?

霊に匂い(体臭ならぬ霊臭?)があるのだろうか?

くどいようだが、決してノスタルジアを感じる “香り” ではない。

 

最近になってようやく、この謎の答えが見つかった。

 

この加齢臭、どうやら私自身、そして私の洗濯物から臭ってきているらしい…。