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「ラスト・ソング」のその後

千代の教訓

11月末、「晴天を衝け」を見てみたら、渋沢栄一の妻、千代がコレラに冒されて亡くなるところだった。
第一回以来ほとんど見ていなかったのに、たまに見るとコレラなんて、やっぱり私、感染症に呼ばれているんだろうか?

日本の、特にNHKのドラマは医事監修が行き届いているので、概ねこんな感じだったんだと思う。
が、「コレラでこんなに穏やかだったのだろうか?」とか「他の家族になぜうつらなかったのだろう?」とか、「原因食品は何だろう?」とか疑問は尽きない。原因食品として牛乳が示唆されていたが、コレラは牛乳からうつらないはずだし、調理人が感染していたら子供たちはなぜ大丈夫だったのだろう???

さて、私の理解しているところでは、コレラ鎖国中、西洋から入ってきたという。今とは比べものにならないほど厳しかった「水際」でも、感染症を食い止めることができなかった。
かつては多くの人の命が奪われたが、現代ではコレラで死ぬ人はほとんどいない。
抗生物質のおかげもあるが、今では「アイソトニック飲料を飲んで寝ていれば死ぬことは、まずない(TM主査談)」そうだ。

コレラの死因は、コレラそのものの毒性より、脱水によることが多い。
下痢をすると、どうしても水分を控えてしまう。一方、身体の水分はどんどん失われる。現在では輸液という手段もあり、脱水で亡くなることはない。
千代も、塩水や砂糖水をガブガブ飲ませてあげれば助かったかもしれない。

加えて、コレラの毒性も弱くなった。正確に言うと、毒性の弱い株が優勢になった。

私が細菌検査の担当になった頃から気候変動が始まり、海水温が上昇し、コレラが流行ったことがあった。が、亡くなる人は少なかったと思う。あの年は、お寿司屋さんから貝の刺身が消えた。

ちなみにコレラ菌は真水に弱いので、真夏に貝類のお刺身を食べたければ、真水でよく洗えば大丈夫…なはずです。

そしてお腹を下したときは、(原因は何であれ)水分補給してください(なるべく温かいものを)。

☆ 安易な "下痢止め" の使用はお勧めできません。