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「ラスト・ソング」のその後

失われた言語

テレビでウクライナの人たちが「もうロシア語は絶対に使いたくない」と言っていた。

 

私たちからするとロシア語もウクライナ語も、キリル文字を使っているし、音も似ていて区別がつきにくい。

実際、ウクライナの人たちも両方の言語が使える人たちがほとんどで、ネット検索はロシア語などと使い分けていたらしい。

 

が、このような事態になると、言語の位置付けが、コミュニケーションツールと言うより、民族のアイデンティティを表すものになる。

 

日本も戦時下は英語起源のことばは「敵性語」とされ禁止されたと聞いた。

野球用語もストライクは「よし」、三振は「それまで」など

父は「おかしな話だよね」と平和に笑っていたが、実際戦争となると、家の上に爆弾を落とす人たちが使っている言葉は排除せよというのは決して「おかしな話」ではないと思う。

 

戦後、負けた日本が英語化されなかったのは本当にありがたいことだった。

 

言語を失うことは民族アイデンティティの喪失にもつながる。

ということで私は、英語はAIに任せて、人間は美しい母国語の習得を第一にすべきと思う。

 

日本人は開国以来、輸入されてくる言葉にどんどん日本語を対応させていった。

英語のpresidentを「大統領」としたのは名訳だと思うし、映画のタイトルも、科学の言葉も、全てどこかの誰かが訳語をつけ、それを日本国中に広めた。科学の言葉に対する訳語がこれほど付けられているのは、日本くらいだと聞いたことがある(他の国は英語をそのまま使っているという)。

 

聞いたところによると、一時は小説の人名まで日本語に訳したという。

「ハイジ」に出てくる「ピーター」は(確か)「一郎」だったと思う。笑っちゃうような話だけど、私はこのアイデアに大賛成だ。小説に登場する名前には、作者の思い入れがあったり、名前から受ける印象がストーリーに反映されることがあるからだ。

 

知人に語学の達人がいた。

高校生のときすでに英検一級を取得し、東京外語大在学中に通訳の仕事をしていた。卒業後は世界をあちこち回っていろいろな仕事をし、某国のスパイにリクルートされたこともあったらしい。

 

晩年はコンピュータ関係の翻訳をしていたらしい。

が、もしかしたらそれは仮の姿で、実はスパイだったのかもしれない。なんせ彼女の家のすぐ近くに、公にされていない米軍の施設があって、大統領もそこを使って東京に入って来ていたらしいし。

 

presidentが「大将軍」ではなく「大統領」になった経緯も彼女から聞いた。

ロシア事情にも詳しく、10年以上前に、ウクライナとロシアの関係についてメールに書いてもらったこともあった(キレイに忘れてしまいました。ごめんなさい)。

 

このような情勢下、彼女のレクチャーをもう一度聞けたら面白いだろうと思うのだが、数年前に認知障害を発症し、今では日本語も出てこないらしい💧

 

あの知識は全てどこへ消えてしまったのだろうと思うと、虚しくも悲しくもなる。